読書感想文:『すばらしい新世界』

そもそもこのブログに「うおとかの本棚」と名付けたのは読書感想文を載せようと開設したからなのだが、これまでに投稿したそれらしいものは『アナル全書』についての記事のみで、それすら読書感想文というよりは書籍レビューに近い代物だ。今回はオルダス・ハクスリーの著した『素晴らしい新世界』について、その感想を記したい。

未読者のために、作品世界を簡潔に描写しよう。西暦2540年。世界は完全に統制されている。母親が腹を痛めて子供を産む時代は忌むべきものとして忘れ去られ、すべての人類は瓶詰のまま人工授精で生産される。社会はトップエリートであるアルファ階級から、最下層のエプシロン階級までで構成される階級社会である。全ての人類は生を受けた直後から始まる条件付け教育によりその階級に対して模範的な人格しか持たない。彼らは与えられた役割をこなし、余暇にはフリーセックスに励んだり、副作用なしにトリップできる政府配給の麻薬を飲んで時間をつぶす。

まずこの小説の舞台が、国民すべてが幸せに暮らすユートピアであるが、外部から見れば何もかもが人為的に統制されたディストピアであるというある種の矛盾から始まる。他のディストピア小説と同じように、この作品世界において統制者にとって不都合な書籍や思想は徹底的に排除され、すべての人々は機械の歯車のように、みな同じ顔立ちで与えられた仕事を遂行する事が要求されている。我々の価値観からすればこれは自由がなく、個性が許されず、不幸な生活に思える。この世界では誰もが自分の立場が一番素晴らしいと信じていて、それを遂行する事こそ自由の喜びなのだ!

その理由は徹底した条件付け教育—我々の言葉では「洗脳」と呼ぶ―にある。これは睡眠学習によって行われる。例えばベータ階級の幼児が睡眠中に聞かされる文を見てみよう。「デルタの子はみんなカーキ色の服を着ている。ああ嫌だ。デルタの子たちとは遊びたくない。エプシロンなんてもっとひどい。ものすごく頭が悪くて読み書きもできない。おまけに服の色は黒で、ほんとに嫌な色だ。私はベータで本当に良かった。」「アルファの子は灰色の服。わたしたちよりうんと勉強をする。頭がものすごくいいからだ。わたしはじぶんがベータでほんとうによかった。なぜならそんなにたくさん勉強しなくていいから。」

彼らはこれを5万回以上繰り返して聴くことになる。ここで特筆すべきは、「上の階級より自分の階級の方が良い」という刷り込みを与える事だ。普通の人間には向上心というものがあり、階級社会では上を目指そうとしたり、それが不可能なら上に立つ人間をねたんだりする。この競争は社会を前へ前へと進める原動力になるが、それはすなわち社会に不安定をもたらすという意味でもある。

この作品世界は前進を求めない。既に理想の世界は完成している。あらゆる不安定要素を取り除くことこそが幸せを保つ手段なのだ。

この描写には行動心理学への批判も込められている。「パブロフの犬」に表される「心理的行動は一定の刺激による反応として現れるものであり、条件付けにより制御ができる」という思想は一部の人々に拡大解釈され、条件付けの効果を過大評価する向きが当時表れていた。ハクスリーはそれに具体例を提示し、その不自然さを見せようとしたのだ。

この世界ではフリーセックスが当然のものとされ、一人を独占しようとする考えは奇異な物として扱われる。これは前述した人工授精による人口生産が定着したことにベースがあると考えられる。そもそも人が家族を持とうとするのはなぜか?男女が生殖すれば生まれた子供には養育者が必要となる。その為に父親、母親に養育義務を遂行させるために拘束するシステムが結婚、家族制度であろう。むろん我々には家族愛といものがあって、家族というのはそんな無機質なシステムに還元されるものではないという感情もあるが、家族機能の根本はこの原理にあるはずだ。では、誰も子供を産まず、幼児が養育センターで集中管理されるようになれば家族の必要性とは何か。そんなものは存在しない、というのがこの世界での考え方だ。

生殖と結びつかなければセックスはただのレジャーに過ぎない。この点は我々の社会でも、ゲイの性行動が比較的奔放に見える要因であると考える。行きずりの女性とのワンナイトラブも当然存在しないわけではないが、初対面のゲイが好き勝手にセックスする発展場の数とは比べ物にならないだろう。我々の世界において同性婚はかなりのレアケースであって、家族となる事を前提としなければ性に奔放になる理由も明白である。

この世界の階層社会は明確な優生学に基づいているが、そのシステムも独特だ。ナチス・ドイツが行った優生学的社会の構築は優れた人種を残し、劣等人種を絶滅させる選民思想に基づいて行われたが、この世界では優れた人種と劣等人種を人為的に作り出すという点で異色である。指導者となるべきアルファ階級は考えられる限り最高の工程で生産される。では劣等人種たるエプシロンはどうかというと、まず一つの受精卵を分割するところから始まる。一卵性双生児を人為的に作るわけだが、ここでは最大96人が一つの卵から生産可能とされている。96人の同じ顔、同じ声の人間が生産される訳で、これは人間を機械のパーツのように用いる為には実に都合が良い。さらにエプシロン階級は胎児の時点で意図的な低酸素状態に置かれる。これにより発育が遅れ、低知能、低身長となる。オーウェルの小説『1984年』において最下層であるプロレは無害な娯楽を与え、教育を施さない事で最下層としたが、『すばらしい新世界』においては発育段階から低知能とすることでより統制しやすいシステムであると言えよう。これが正しい選択である事は、作中において実験から導き出された科学的事実である。

西暦2381年、キプロス島に22,000人のアルファ階層のみを集め、最高の人間のみによる社会を構築させる実験が行われた。その結果を見てみよう。

「世界統制官評議会がキプロス島から全住民を追い出し。22,000人の特別に作られたアルファを入植させた。農業と工学の設備をすべて引き渡し、社会の運営を自分たちでやらせた。その結果は理論的に予想されたとおりのものだった。土地はきちんと耕作されず、どの工場でもストライキが起きた。法は実効性を失い、命令は無視された。低級労働を割り当てられた者は高級労働につこうとたえず画策し、高級労働を割り当てられた者はなんでも現在の地位を守ろうと策略をめぐらした。6年後には本格的な内戦が勃発。人口22,000人のうち19,000人が殺された時点で、生き残った住民全員が合意して世界統制官評議会に島の統治を再開するよう懇願した。評議会は承諾した。こうして史上唯一のアルファだけの社会は終わりを迎えたんだ。」

ここで話題を変えて、重要な登場人物である野蛮人ジョンを見てみよう。「文明人」によって統制されるこの世界にも「野蛮人居留区」があり、そこではいわゆるインディアンが自身の文化を保ちつつ生活している。ある文明人の女性が野蛮人居留区を訪問中事故で行方不明となり、野蛮人居留区で子供を産んで育てる事となった。その子供がこのジョンだ。この世界で「出産する」というのは口に出すのもはばかられる卑しい行為で、その子供を連れて文明社会に戻るなどという生き恥を晒すことはできず、その元文明人の女性は野蛮人居留区にとどまる事となる。この作品世界において過去の文学は全て抹消されているが、このジョンは野蛮人居留区に残されていたシェイクスピアを読んで育つ。その事に起因し彼の喋る言葉はほとんどがシェイクスピアの引用である。”野蛮人”がシェイクスピアをそらんじる可笑しさがこの世界を皮肉っている。実際、この文明社会において求められるのは「幼児性」であると明言されている。自分がしたい事をする。快だけを求める。安らぎに溺れる。その全てを提供するのがこの社会であって、それ以外の全てを排除するのがこの社会である。

ジョンは文明人の子供である事から、野蛮人社会でも孤立していた。条件付け教育が効きづらい体質から自らの異端さを認識し苦しんでいた主人公は野蛮人居留区を訪れた際このジョンに共感し、彼を文明社会へ連れ出すことを決める。ジョンについての話はここまでにして次に移ろう。

この文明社会では、当然想像されることだが、キリスト教は存在しない。しかし、はたして宗教の存在しない文明などあるだろうか?この世界で信奉されているのは実在の人物、ヘンリー・フォードである。アメリカの自動車メーカーフォード社の創業者、大量生産システムの父と言えば誰でもわかるだろう。定期的に行われる「団結儀式」は全員で幻覚剤を服用し、フォードの名を讃え、熱狂と陶酔に溺れる。この世界では工業を成長させるため、消費を促進する条件付けが行われている。「継ぎはぎするより次々捨てよう」「縫い針一本恥のもと」そのためフォードが信仰対象として、この世界の統治者によって選ばれたのだろう。ただ、実際のところ信仰する対象など何でも良いのだ。

登場人物の名前がレーニントロツキーマルクスなどに由来している事から、作者はソ連も作品世界のディストピアと共通点があると見ている事がわかる。ソ連共産主義は宗教を排除したが、果たして国民に信仰が存在しなかったか?否、レーニンスターリンへの個人崇拝こそソ連の国教であり、人民の持つ”信仰エネルギー”はそこに向けるよう管理されていた。こうした建前と実態の矛盾を描き出したのがこの作品だといえよう。

以上、このディストピア=ユートピア小説について概観した。ここで触れられているのは原典のごく一部なので、興味を持った者には是非読む事を勧めたい。その際には注釈の非常に丁寧な新訳版を勧める。

 

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

 

 

次に読みたいもの

動物農場』:ジョージ・オーウェル

『われら』:エウゲニー・ザミャーチン

ユートピア』:トマス・モア

 

 

 

 

 

言語学ノート:概念メタファー

ここ最近院試に向けて言語学の勉強を進めている。自分なりにまとめるためのメモ書きをブログに残しておく。これは学習中のメモであって、多分に誤りが含まれているであろうことはわかったうえで、興味がある人に眺めてもらえればと思う。

 

第一回は『概念メタファー』

”メタファー”と言われて思い浮かぶのは「国家は家族だ。」のような修辞表現であったり、「楽器は男根のメタファー」などという言葉だろう。

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最早懐かしい

 

認知言語学でいう『概念メタファー』というのは具体的に文中で修辞として用いられるものではなく、言語表現のより根本的な、発想に関わる”たとえ”である。

LakoffとJohnsonによる「Metaphors We Live By (邦題『メタファーと人生』)において提唱された概念で、具体例としては

Love is  journey  愛は旅である

Life is  journey 人生は旅である

Argument is war 議論は戦いである

などが挙げられている。具体例を見てみよう。

 人生において、我々は「道を踏み外し」たり、「道を見失ったり」する。英語特有の表現でいえば"He made his way in life.(彼は立身出世した)" 、"She went through life with a good heart.(彼女は陽気に人生を過ごした)"。「ゴールイン」した二人の結婚生活が「暗礁に乗り上げる(船旅)」事もある。

議論中、「さあ、反論があるならしてくれたまえ」は英語で"Shoot me!(俺を撃て!)"と言い、日本語では相手の主張をカタナで「一刀両断」する。敵の主張にある弱点を「狙い撃ち」にする事もある。英語の表現では"He shot down all my arguments.(彼は私の論点を全て撃ち落とした。)"、"They defended their position foreciously.(彼らは自身の立場を死守(防衛)した)"

これらの比喩表現はそのベースになる概念メタファーが、二つの事物に類似性を見出す事から生まれている。

人生と旅には始点と終点(スタートとゴール)があり、方向を選択しながら進み、道を通り過ぎる。その過程で人と出会ったり別れたりして、生涯の伴侶と手を取り歩き続ける人もいる。

議論と戦争ではいくつかの立場に分かれ、敵の攻撃を予測して対策を整え、勝者と敗者が決するまで自身の陣地を守り抜こうとする。

このように、異なる表現に共通点を見出し言語を運用する仕組みとして『イメージスキーマ』と呼ばれる概念がある。これは概念メタファーよりさらに深い部分に根差すもので、次回のテーマとしてまとめるつもりだ。

 

参考文献

認知言語学入門』:F.ウンゲラー、H.J.シュミット

認知言語学のための14章』:J.テイラー

 

 

誤解への訂正、また内容への質問は気軽にコメントへ

SCPで英語を読もう:第五回 SCP-871(2)

それじゃあ今日も「景気のいいケーキ」 いってみよ~

 

まずは本文

Class D personnel who prove cooperative in the consumption of an instance of SCP-871 may volunteer to participate in additional consumptions. Personnel exhibiting exceptional usefulness may have their monthly termination postponed. Such personnel are under no circumstances to be allowed to interact with any other SCP object.

No desserts of any kind are to be served on-site at any facility housing a recurrence of SCP-871.

Description: SCP-871 is a collection of 237 cakes. Instances of SCP-871 vary widely in appearance and size, covering the entire range of foods described by humans as "cake". The smallest observed instance of SCP-871 was a miniature cupcake with a mass of 15 grams. The largest yet observed was a 22-kilogram baumkuchen measuring 2 meters in length.

 

続いて単語の確認。

prove   証明する

cooperative 協力的

volunteer  志願する

exhibit           示す

exceptional 特別な

postpone  延期する

such   こうした

appearance 外見

entire   全ての

 

英検二級レベルの単語が多いね。日常会話に頻繁に出てくる語彙では無いけど難関大学の受験には必須の単語だから、知ってる人も知らない人も確認しておこう。

 

読解編

 

Class D personnel who prove cooperative in the consumption of an instance of SCP-871 may volunteer to participate in additional consumptions.

SCP-871の消費作業に協力的な態度を示したDクラス職員は追加の消費作業に志願する事ができます。

 

 

この文の主語はClass D personnel who prove cooperative in the consumption of an instance of SCP-871  長いね。

Class D personnel     Dクラス職員       どんな?

who prove cooperative  協力的な態度を示した   何に?

in the consumption     消費作業に         何の?

of an instance of SCP-871 SCP-871の生成物

 

と4つのパーツに分割すると理解しやすくなるかな。

 

「ボランティア」って単語はみんな知ってるよね。日本語だと基本的に奉仕的な無償労働を指す言葉。

英語のvolunteerはもう少し意味が広くて、名詞としては「志願者」として使います。授業中に問題答える人募集して先生が" Volunteer?"って聞いたりね。この文中では動詞として用いられていて、「志願する」。

 

 

Personnel exhibiting exceptional usefulness may have their monthly termination postponed.

特に有用だとみなされた職員については、月例解雇を延期することができます。

 

 

主語Personnel exhibiting exceptional usefulnessは直訳すると「すぐれた有用性を示す職員」

terminationは既に触れたように財団用語で「解雇」

postponeは会議などのスケジュール説明に使うから、TOEIC頻出単語の一つだよ。

 

 

Such personnel are under no circumstances to be allowed to interact with any other SCP object.

そのような職員はSCP-871を除くあらゆるSCPオブジェクトとの接触を禁じられます。

 

 

う、ちょっと説明の仕方が英語的で難しいね。circumstanceは「状況」 under circumstancesは「(....という)状況下で」

noを挟んだこのunder no circumstancesは「どんな状況下でも~ない」という内容を表現しています。そして否定されているのは...

to be allowed 受動で「許可される」

to interact  接触する事を

with any other SCP object 他のあらゆるSCPオブジェクトと

よって直訳すると「そのような職員は、どのような状況においても他のあらゆるSCPオブジェクトとの接触を許されることはありません。」

 

 

 

No desserts of any kind are to be served on-site at any facility housing a recurrence of SCP-871.

あらゆる種類のデザートは、SCP-871の生成物を収容している全ての施設で提供されることが禁止されています。

 

 

 

英語のnoの使い方は日本語と少し考え方が違うから難しいね。日本語では「デザートを提供しない」  提供する、という動詞の方に否定の-ないが付くよね。英語ではこの場合名詞に否定が付く場合があるんです。例えば...

I have no brothers.       :  I don't have brothers.と同義

Japan has no army. : Japan doesn't have an army.と同義

kindは「種類」だから、提供されないのは「あらゆる種類のデザート」だね。

 

その後に続くのはまたbe to be構文で are to be served。 義務を表し「提供されなければならない。」 ここも主語にnoが付いてるから意味は反対で、「提供されてはならない」   今まで意識したこと無かったけどホントbe to構文頻出するなあ。

 

facility housing a recurrence of SCP-871 は先程出てきたように名詞+動詞の-ing形で「~している〇〇」   この場合「収容している施設」。これは関係代名詞を使うと "facillity which houses a recurrence of SCP-871"と言い換えることができるね。

 

 

 

Description: SCP-871 is a collection of 237 cakes.

概要:SCP-871は237個のケーキからなるコレクションです。

 

 

Instances of SCP-871 vary widely in appearance and size, covering the entire range of foods described by humans as "cake".

SCP-871の生成物は大きさや外見を幅広く変化させ、人間によって「ケーキ」と表現されるあらゆる形態の食品を含みます。

 

 

varyは「変化する」という動詞。「とても」を意味するveryと間違えちゃだめだよ。

そんな間違いする人間がいるのか?  いるんだなここに

この単語から派生した名詞はvariation「バリエーション」、variety「バラエティ」あたりがあるね。

 

さて、この文の後半もいつもどおり分割して読んでみよう。

covering the entire range 全ての範囲を含む(カバーする)  何の範囲?

of foods  食べ物の    どんな?

described by humans as "cake"  人間によって「ケーキ」と描写される。

このdescribedは以前取り上げた、名詞+ing形で「~する〇〇」、ing形でなく過去分詞を使うことで「~される〇〇」という受動表現だね。

 

 

The smallest observed instance of SCP-871 was a miniature cupcake with a mass of 15 grams.

観測された最小の生成物は15gのミニチュアカップケーキです。

 

 

シンプルだね。 with a mass of 15 gramsは英語独特の表現。直訳すると「15gの重さと共に」  まあ言いたいことはわかるよね。

同様の表現は with a height of 1 metre 「1mの高さの」なんかも覚えとこう。

 

 

The largest yet observed was a 22-kilogram baumkuchen measuring 2 meters in length.

観測上最大の生成物は22kg、長さ2mのバームクーヘンです。

 

 

この文の主語は前文に出てきた instance of SCP-871であることが自明なので省略されてます。なので補うと The largest yet observed instance of SCP-871 「今までに観測されたSCP-871の生成物で最大のもの」 yetは「今の所」という意味を添えてるね。

 

measureは「~の値(長さ、重さなど)を持っている」という自動詞。こういう文法的な違いは日本語話者にとってちょっと馴染みづらいとこだよね。文法としてはシンプルで

measuring 「~の値を持っている」

2 meters  2mの

in length  長さにおいて

これが例えば in height だと高さを表すわけ。

ある言語で動詞一語で表される言葉が他の言語には相当する単語が無いって事ちょくちょくあって、これ見た時必ず戸惑うんだよね。例えばロシア語には「何々をするのに十分な時間を持っている」というのを一語で表す単語があります(успеть)

 

 

お疲れ様!今回もなかなか骨の折れるパートだったね。残りは二回くらいで消化しようかな?

今回の範囲をまとめて眺めてみようか。

 

 

Class D personnel who prove cooperative in the consumption of an instance of SCP-871 may volunteer to participate in additional consumptions. Personnel exhibiting exceptional usefulness may have their monthly termination postponed. Such personnel are under no circumstances to be allowed to interact with any other SCP object.

No desserts of any kind are to be served on-site at any facility housing a recurrence of SCP-871.

Description: SCP-871 is a collection of 237 cakes. Instances of SCP-871 vary widely in appearance and size, covering the entire range of foods described by humans as "cake". The smallest observed instance of SCP-871 was a miniature cupcake with a mass of 15 grams. The largest yet observed was a 22-kilogram baumkuchen measuring 2 meters in length.

 

 

SCP-871の消費作業に協力的な態度を示したDクラス職員は追加の消費作業に志願する事ができます。特に有用だとみなされた職員については、月例解雇を延期することができます。そのような職員はSCP-871を除くあらゆるSCPオブジェクトとの接触を禁じられます。

あらゆる種類のデザートは、SCP-871の生成物を収容している全ての施設で提供されることが禁止されています。

概要:SCP-871は237個のケーキからなるコレクションです。SCP-871の生成物は大きさや外見を幅広く変化させ、人間によって「ケーキ」と表現されるあらゆる形態の食品を含みます。観測された最小の生成物は15gのミニチュアカップケーキです。観測上最大の生成物は22kg、長さ2mのバームクーヘンです。

 

いや~、一文ずつ訳していってそのまま並べると、やっぱり全体としては少しぎこちなくなるね。実際の翻訳作業ではこうやって全体を眺めて、まとまりを保てるよう工夫したい。

特に気をつけたいのは同じ言葉の繰り返し。同じ単語を何度も繰り返したり、「~です。~です。」って語尾を多用しすぎたりするとどうしても美しい文から離れてしまうので、推敲するときには意識したいポイント。この辺りのセンスってのが、今のところ機械翻訳と人間の翻訳を分ける大事な点じゃないかと思ったり。

 

それじゃあまた来週!(来週になるとは言ってない)

質問、意見はコメント欄でもTwitterでもどうぞ。

 

メモ:幻覚剤の旅。人格を解放するプロセス

世の中の全てを疑ったデカルトはこう言った。

         我思う、故に我あり。

その我 ― Egoへの不信を抱いた時、人間は人間でいられるのか?

 

 

幻覚剤を説明する時、「意識を解放する」というフレーズはあまりにもチープだが、同時にこの上なくシンプルに、そして正確にその性質を表していると言わざるを得ない。

 

意識の解放 ──── それは自分の感覚への不信から始まる。

 

人間は空想の中に生きることができる。それでも、自身の感覚を信じる事で意識は現実に繋ぎ止められる。身体感覚はいわば命綱として働いている。それはどんな状況でも、自分が現実世界にいると安心できる命綱。今この目で見ている、この耳で聞いている、この手で触っているものは現実なんだ、という思い込みの上で人は生きている。

幻覚剤は視覚を変化させる。聴覚を、味覚を、時間感覚を、何一つ自分の知覚するものに真実など無いことを眼前に突きつける。命綱を失い、寄り掛かる壁を失い、ただ一人不安定な足場に残された人間は恐ろしい不安、孤独感に包まれる。

 

そして彼は地図のない平野へ飛ぶ。

 

高い壁に囲まれた道。外を覗くことすら許されない一本道。彼はもうその安寧に戻れない。

 

 

 

ドラッグによる恍惚状態は多くの場合「飛ぶ」と表現される。

対して幻覚剤によるトリップを、人々は「ダイブ」と呼ぶ。感覚への不信が生まれ、外に寄りかかるものが無いと知った時、人間の意識は内面へ、自分のナカへ深く、深く潜っていく。

自身の力で探索を進めない限り、そこはただの暗闇に過ぎない。そこに何があるか誰かが指し示してくれる訳ではない。出口すらわからない。

 

幻覚剤での旅に「ガイド」が付くことは多くの場合望ましい選択だ。ジョン・C・リリーのLSD体験を読んだ者なら、経験豊富なガイドがトリップをどう支えてくれるかわかるだろう。

 

幻覚剤はあらゆる思い込みから精神を解き放つ。そこには物理的な制約が存在しない。ワタシの身体はこのサイズの空間を占めている?その身体は一つしか存在しない?その根拠をワタシは求めたことがあっただろうか。ワタシは4つの声帯から発声し、8つの鼓膜で返答を受け取った。収まるべき場所を失った意識は空気に溶け込み、対流に乗って部屋へ広がっていく。

 

それは意識の解体。人格が溶けていくという解放。そして彼は模擬的な死を経験する。

 

 

 

 

全てを見、聞き、味わった彼は再び現実へと戻ってくる。その外見に変化はない。そしてその精神は、不可逆的に変化している。

知ってしまった世界を忘れることはできない。その全てを記憶の果てに置き去りにすることはできない。

彼は今までと変わらぬ世界を生きていくだろう。人とは違う物を見ながら。

SCPで英語を読もう:第四回 SCP-871(1)

ウィス。

今日もいってみよー

 

まずは原文

 

SCP-871
 
Cake.jpg

An instance of SCP-871

Item #: SCP-871

Object Class: Keter

Special Containment Procedures: Each recurrence of SCP-871 is to be maintained within a separate, locked concrete cell on a metal platter permanently affixed to the surface of an immovable wooden table. Each cell housing a recurrence of SCP-871 is to be monitored on a 24-hour basis via closed-circuit camera, with individual feeds checked every 15 minutes.

Upon creation of an instance of SCP-871, 3 Class D personnel are to be escorted by armed guards to its cell, where they are to be sealed with the instance and induced to consume it. No more than one hour may be spent performing this task. In cases where additional motivation is needed, the termination of one of the Class D personnel assigned to an instance of SCP-871 is authorized. Upon completion of the consumption of an instance, no participants may exit the cell until both they and the room have been thoroughly searched to confirm that no portions remain. The platter, table, and room are then to be cleaned in preparation for the next instance.

Class D personnel who prove cooperative in the consumption of an instance of SCP-871 may volunteer to participate in additional consumptions. Personnel exhibiting exceptional usefulness may have their monthly termination postponed. Such personnel are under no circumstances to be allowed to interact with any other SCP object.

No desserts of any kind are to be served on-site at any facility housing a recurrence of SCP-871.

Description: SCP-871 is a collection of 237 cakes. Instances of SCP-871 vary widely in appearance and size, covering the entire range of foods described by humans as "cake". The smallest observed instance of SCP-871 was a miniature cupcake with a mass of 15 grams. The largest yet observed was a 22-kilogram baumkuchen measuring 2 meters in length.

When any instance of SCP-871 is consumed by a human or a collection of humans, it is replaced approximately 24 hours afterward with a similar cake. This cake will appear on a flat surface in the vicinity of the location where the previous instance was eaten. If any of these cakes is substantially damaged through any means other than being eaten by a human, including being eaten by a non-human animal, it will be replaced instantaneously. Instances recreated in this manner maintain the schedule of the original instance. The mechanism by which instances of SCP-871 are replaced is currently unknown.

Individual recurrences of SCP-871 have been observed to "mutate" over time, varying in minor characteristics between each instance, with larger changes occurring in roughly 5% of replacements. No deleterious effects have been observed to result from the consumption of SCP-871, even in cases where several instances have been consumed, excepting those expectable from eating large amounts of cake.

SCP-871's danger originates in the consequences of an instance not being eaten. Any instance of SCP-871 which is not consumed will cause a new cake to be created in its vicinity after 24 hours. While this is similar to its normal "replacement" behavior, the original instance will continue to exhibit the same properties, replicating if damaged and continuing to "replace" itself every 24 hours. This behavior has been observed in all cases where more than 10% of the mass of an instance remained unconsumed. As there is no known mechanism for halting SCP-871's replication, any uncontained instances could replicate exponentially, quickly becoming unmanageable. No maintainable plans for the containment of more than 20,000 instances of SCP-871 have yet been devised. It is estimated that an uncontrolled outbreak originating with a single instance would render the earth uninhabitable within 80 days.

 

 

 

...長いね。まあ4~5回くらいに分ければ行けるかな?それじゃあ改めて今日読む範囲を。

 

Special Containment Procedures: Each recurrence of SCP-871 is to be maintained within a separate, locked concrete cell on a metal platter permanently affixed to the surface of an immovable wooden table. Each cell housing a recurrence of SCP-871 is to be monitored on a 24-hour basis via closed-circuit camera, with individual feeds checked every 15 minutes.

Upon creation of an instance of SCP-871, 3 Class D personnel are to be escorted by armed guards to its cell, where they are to be sealed with the instance and induced to consume it. No more than one hour may be spent performing this task. In cases where additional motivation is needed, the termination of one of the Class D personnel assigned to an instance of SCP-871 is authorized. Upon completion of the consumption of an instance, no participants may exit the cell until both they and the room have been thoroughly searched to confirm that no portions remain. The platter, table, and room are then to be cleaned in preparation for the next instance.

 

よーし、まず単語の確認から行ってみよう!

recurrence    再発

platter      大皿

permanently   恒久的に

affix       貼り付ける

surface     表面

immovable    固定した

house      収容する

closed-circuit camera   有線カメラ

instance     実例

armed      武装した

sealed      封印する

induce      ~させる

consume     消費する

additional     追加の

authorize     承認する

completion    完了

consumption   消費

portion      一部分

 

だ、だいぶ難易度上がったね...。まあゆっくり見ていこう。

 

本文

...の前におっと。タイトル忘れてたね。記事書き終えて投稿直前に気づいたからここにねじ込んでおこう。

 

原題は Self-Replacing Cake『自己置換ケーキ』

日本語訳は『景気のいいケーキ

....。なかなか大胆な訳だね。SCP翻訳はしばしば翻訳者のユーモアセンスが遺憾なく発揮されるシーンが有って面白いところ。オリジナルと翻訳の違いを知っとくと、一粒で二度美味しい楽しみができるかも。

さて、気を取り直して本文に移ろうか。

 

 

 Special Containment Procedures: Each recurrence of SCP-871 is to be maintained within a separate, locked concrete cell on a metal platter permanently affixed to the surface of an immovable wooden table. 

特別収容プロトコル:SCP-871の各生成物は、移動不可能な木製のテーブル上に固定された金属製プレートの上で、分割、施錠されたコンクリートセルの中に収容されます。

 

早速ナチュラルな訳が難しい、長いセンテンスが出てきたね。少し分割しながら見てみよう。

Each recurrence of SCP-871がこの文の主語。recurrenceは「再現、循環」という意味だから上の訳はちょっと意訳し過ぎかな?という感じもある。既にオブジェクトの概要を知っている人にはなぜ「再現、循環」という単語が使われているかわかるよね。

to  be maintaind「維持される」だけどここでは「収容される」という言葉を使いました。動きのないものなら「保管される」でも良いかもしれないけど、この場合なんとなくそぐわない気がして... これは日本語のセンスの問題だから勿論違う感覚の人もいるかもしれないけど。

within「~の範囲内で」はSCP-173でも見た単語だよね。その後に続くのがオブジェクトの収容環境。

まず separate, locked concrete cell 「分割、施錠されたコンクリートセル」 cellは部屋、区画みたいな言葉かな。で、さらに収容環境の説明が続きます。

on a metal platter 金属製プレートの上で。どんなプレート?

permanently affixed to the surface of an immovable wooden table 直訳で「移動不可能な木製テーブルの表面へ恒久的に固定された」

permanentは「恒久的、半永久的な」。 -lyという接尾辞で形容詞から副詞になり、名詞ではなく動詞を修飾する単語になります。髪に当てるパーマは permanent waveの略。アイロン当てて一時的に作るウェーブと違ってシャワー浴びたりしてもずっと残るからこの名前になったんだって。

immovableという単語は分解するとim -mov(e) -able 。imは否定を表す接頭辞、-ableは「~出来る」という接尾辞。impossible「不可能」って単語はみんな知ってるよね。この単語と並べてみると同じ作りになってる。

 

Each cell housing a recurrence of SCP-871 is to be monitored on a 24-hour basis via closed-circuit camera, with individual feeds checked every 15 minutes.

SCP-871を収容する各セルは24時間体制で有線カメラによって監視し、各映像は15分毎に確認します。

 

houseは「家」という名詞としてみんな知ってるだろうけど、動詞として「しまう、収容する」という使い方もされます。

この文の主語はeach cell housing a recurrence of SCP-871「SCP-871の生成物(再現)を収容している各セル」。

名詞 + 動詞の-ing形で「~している○○」を表すことができるよ。

例:students studying Russian are ~ 「ロシア語を学んでいる学生たちは~である」

 

is to be monitored  SCP-173の記事でこのbe to 構文は覚えたよね。この文でも義務を表していて、「監視されなくてはいけない」

 

わかるよ、みんなfeedって何か説明しろって思ってるっしょ。訳文で「映像」とか適当にぼかして悪かった。

うおとかが愛用しているWeb辞書Cambridge Dictionary によると...

 

web pagescreen, etc. that updates (= changes) often to show the latest information:

ウェブページなどで、最新の情報を伝えるため頻繁に更新されるもの

例文:Your Twitter feed refreshes automatically to show new tweets.

あなたのツイッターフィードは新しいツイートを表示するため自動的に更新されます。

 

なのでこの記事で使われているfeedは監視映像の事です。文脈によって色々な意味になる単語だね。

 

 

Upon creation of an instance of SCP-871, 3 Class D personnel are to be escorted by armed guards to its cell, where they are to be sealed with the instance and induced to consume it. 

SCP-871による生成事象の際、武装した警備員に連れられた3人のDクラス職員が収容セルへ閉じ込められ、生成物を消費するよう求められます。

 

upon「~の際」 

3 class D personnel are to be escorted by armed guards to its cell, where they are to be sealed with the instance and induced to consume itは直訳すると「3人のDクラス職員が武装した警備員によって、彼らが生成物と共に閉じ込められ、それを消費するよう促されるセルへ連れ込まれます」 いくらかの意訳を混ぜて上の訳に落ち着きました。

 

No more than one hour may be spent performing this task. 

この作業を完了するのに1時間はかかりません。

 

シンプルだね。may は「おそらく」という推量を表しています。

 

In cases where additional motivation is needed, the termination of one of the Class D personnel assigned to an instance of SCP-871 is authorized. 

追加の動機付けが必要な場合、この作業に割当てられたDクラス職員一名を解雇することが認められています。

 

in cases「~の場合において」  どんな場合か説明するのが関係代名詞whereに続くadditional motivation is needed。motivationモチベーションは日本語にも定着している言葉だね。

therminationは「終了」 財団用語で「終了」「解雇」は「殺害」を意味しています。どちらを用いるかはケースバイケースで厳密な基準はありません。ただ「解雇」は財団職員にしか用いないかな。「終了」は財団職員、一般人共に使うね。

class D personnel assigned to an instance 上で名詞+動詞-ing形をやったけれど、この文のように名詞+動詞過去分詞形も用いることができます。前者は能動、後者は受動。 

この長い文を分割すると

{(In cases) (where additional motivation is needed)}, {(the termination of one of the Class D personnel) (assigned to an instance of SCP-871)} is authorized.  かな

 

 

Upon completion of the consumption of an instance, no participants may exit the cell until both they and the room have been thoroughly searched to confirm that no portions remain. 

生成物消費作業の完了後、在室者及び室内に生成物が一片も残っていないことを確認するため、室内が徹底的に捜索されるまで彼らの退出は認められません。

 

また分割しつつ見ていこうか。

まずUpon completion of the consumption of an instanceでその後に続く文がどういう状況で適用されるか説明してるね。そしてno participants may exit the cell「参加者がセルから出ることはできない」     それはいつ?

until both they and the room have been thoroughly searched   theyはparticipantsを指してるね。「彼らと室内の両方が徹底的に捜索されるまで」    何のために?

to confirm that no portions remain

一欠片も残っていないことを確認するため。

Confirmという単語はほら、利用規約とか読まされた後押すボタンに書かれてるよね。

オーケー、次でラストだよ!

 

 The platter, table, and room are then to be cleaned in preparation for the next instance.

その後プレート、テーブル、室内は次回の生成事象に備えるため清掃されます。

 

なんか変なところにthenが挟み込まれてるけどこのthenは「その時、そしたら」。この文では前文の事だね。「室内の確認が終了し、在室者が退室したら」

間に割り込まれてるけどここのare to be cleanedもbe to be構文で「清掃されなくてはいけない」 シンプルな一文だね。

 

 

見返してみよう!

 

Special Containment Procedures:Each recurrence of SCP-871 is to be maintained within a separate, locked concrete cell on a metal platter permanently affixed to the surface of an immovable wooden table. Each cell housing a recurrence of SCP-871 is to be monitored on a 24-hour basis via closed-circuit camera, with individual feeds checked every 15 minutes.

Upon creation of an instance of SCP-871, 3 Class D personnel are to be escorted by armed guards to its cell, where they are to be sealed with the instance and induced to consume it. No more than one hour may be spent performing this task. In cases where additional motivation is needed, the termination of one of the Class D personnel assigned to an instance of SCP-871 is authorized. Upon completion of the consumption of an instance, no participants may exit the cell until both they and the room have been thoroughly searched to confirm that no portions remain. The platter, table, and room are then to be cleaned in preparation for the next instance.

 

特別収容プロトコル:SCP-871の各生成物は、移動不可能な木製のテーブル上に固定された金属製プレートの上で、分割、施錠されたコンクリートセルの中に収容されます。SCP-871を収容する各セルは24時間体制で有線カメラによって監視し、各映像は15分毎に確認します。

SCP-871による生成事象の際、武装した警備員に連れられた3人のDクラス職員が収容セルへ閉じ込められ、生成物を消費するよう求められます。この作業を完了するのに1時間はかかりません。追加の動機付けが必要な場合、この作業に割当てられたDクラス職員一名を解雇することが認められています。生成物消費作業の完了後、在室者及び室内に生成物が一片も残っていないことを確認するため、室内が徹底的に捜索されるまで彼らの退出は認められません。その後プレート、テーブル、室内は次回の生成事象に備えるため清掃されます。

 

ふぃ~  長くなったけどお疲れ様。甘い物食べて続きもがんばろ~

 

SCPで英語を読もう:第三回 SCP-173(後編)

あい~  それじゃあ今日はSCP-173最終回、行ってみよー(CV.猫宮ひなた)

 

 

まずは原文

Personnel report sounds of scraping stone originating from within the container when no one is present inside. This is considered normal, and any change in this behaviour should be reported to the acting HMCL supervisor on duty.

The reddish brown substance on the floor is a combination of feces and blood. Origin of these materials is unknown. The enclosure must be cleaned on a bi-weekly basis.

 

いや~だいぶ進んだね。単語をチェックしてみよう。

 

scrap    擦る

within    の範囲内で

present   現在

consider      考察する

behaviour     行動

acting    代理

supervisor  管理者

duty     義務

reddish      赤みがかった

substance   物質

combination  混合物

feces       排泄物

enclosure     囲い

 

ちょっと難易度が上がってきたね。うおとかも辞書引きながら頑張るよ。

 

 

Personnel report sounds of scraping stone originating from within the container when no one is present inside.

コンテナ内に誰もいない時、コンテナ内部から石を擦る音が聞こえると報告されています。

 

原文では「職員が報告している」と能動だけど今回は「報告されている」と受動で訳してみました。どちらが良いのかわからないけれど、能動、受動を変えると滑らかに翻訳できることがあるので覚えておいてね。

報告されているのはsounds of scraping stone originating。分割して意味を確かめよう。

 

sounds       of scraping       stone originating

音      擦る     石起源の

 

originatingは動詞originate「~に源を発する、起源に持つ」の変化型。SCP-173記事では一番最初に出てきた名詞origin「起源」覚えてるよね。あそこから派生した単語だと想像できる。

withinは前回も出てきた「~の範囲内で」。この場合from within the containerで「コンテナの中から」。

presentは「現在の」という意味だけれどwhen no one is present insideは「誰も内部にいない時」。 「その時点(現時点)で人がいない」という具体性を与えるために使われています。説明わかりづらいよね...。むずかしい...。

 

 

This is considered normal, and any change in this behaviour should be reported to the acting HMCL supervisor on duty.

これは正常な状態と考えられており、あらゆる行動の変化はHMCL管理者代理に報告する必要があります。

 

 

Thisは先行する文を指していますね。つまりコンテナ内から音がする事。

considereが「考察する、考える」。受動のbe consideredで「~と考えられています」。

その後も受動表現が出てくるね。should be reported「報告されなくてはいけない」

dutyが「義務」だからon dutyで「義務として」って意味合いかな。

そんな感じで各部分を訳してからうまくまとまるよう繋げたのが上の訳文。勿論様々な訳し方があるから誰がやってもこうなるわけではないし、よりスマートな訳し方を見つけたら是非教えてね。

 

The reddish brown substance on the floor is a combination of feces and blood.

床に溜まっている赤茶色の物質は排泄物と血液の混合物です。

 

文の半分が主語と長ったらしくなってるけど文法はシンプルだね。

combinationは皆さんご存知コンビネーション。複数のものが混ざっている時に使うよ。化学用語の「化合物」としても用いる単語だけどね。

 

Origin of these materials is unknown.

これらの物質がどこから生じているかは不明です。

 

The enclosure must be cleaned on a bi-weekly basis.

コンテナ内部は隔週で清掃されます。

 

enclosureは「囲い」 この場合は収容コンテナの事だね。

biはラテン語の数詞bis2を起源に持つ接頭辞。

bicycle:自転車(二輪車

binocular:双眼鏡

などの単語でおなじみかな。

bassisは形容詞系が頻出単語のbasic「基本的な」。on ~basisは「~に基づいて」かな。

 

はい、お疲れ様でした!一歩ずつ進んできたのでもう一度全体を眺めてみよう。

 

 

 

SCP-173.jpg

SCP-173 in containment

Item #: SCP-173

Object Class: Euclid

Special Containment Procedures: Item SCP-173 is to be kept in a locked container at all times. When personnel must enter SCP-173's container, no fewer than 3 may enter at any time and the door is to be relocked behind them. At all times, two persons must maintain direct eye contact with SCP-173 until all personnel have vacated and relocked the container.

Description: Moved to Site-19 1993. Origin is as of yet unknown. It is constructed from concrete and rebar with traces of Krylon brand spray paint. SCP-173 is animate and extremely hostile. The object cannot move while within a direct line of sight. Line of sight must not be broken at any time with SCP-173. Personnel assigned to enter container are instructed to alert one another before blinking. Object is reported to attack by snapping the neck at the base of the skull, or by strangulation. In the event of an attack, personnel are to observe Class 4 hazardous object containment procedures.

Personnel report sounds of scraping stone originating from within the container when no one is present inside. This is considered normal, and any change in this behaviour should be reported to the acting HMCL supervisor on duty.

The reddish brown substance on the floor is a combination of feces and blood. Origin of these materials is unknown. The enclosure must be cleaned on a bi-weekly basis.

 

 

どうかな?最初に見たときは読めなかった場所も含めて、すっかり理解できるようになったよね。気持ちいい?気持ちいい?

 

一文ずつ翻訳していると木を見て森を見ない状況に陥りがちなので、全体のまとまりを確認することを忘れないよう気をつけよう!

 

 

次回予告

 

次回はSCP-871!

 Self-Replacing Cake  景気の良いケーキ

 

予習しておくもよし、解説を待つもよし。お楽しみに!

SCPで英語を読もう:第二回 SCP-173(中編)

 

前回 はSCP-173の特別収容プロトコルまで読み終えたよね。それじゃあ今日は後半まとめていってみよー....と言おうと思ったけど案外長かったので更に二分割。

 

Description: Moved to Site-19 1993. Origin is as of yet unknown. It is constructed from concrete and rebar with traces of Krylon brand spray paint. SCP-173 is animate and extremely hostile. The object cannot move while within a direct line of sight. Line of sight must not be broken at any time with SCP-173. Personnel assigned to enter container are instructed to alert one another before blinking. Object is reported to attack by snapping the neck at the base of the skull, or by strangulation. In the event of an attack, personnel are to observe Class 4 hazardous object containment procedures.

Personnel report sounds of scraping stone originating from within the container when no one is present inside. This is considered normal, and any change in this behaviour should be reported to the acting HMCL supervisor on duty.

The reddish brown substance on the floor is a combination of feces and blood. Origin of these materials is unknown. The enclosure must be cleaned on a bi-weekly basis.

 

今日はこの前半を読むことにしましょう。

 

単語

as of yet     今のところ

construct   構成する

reber      鉄筋

trace      痕跡

animate    生きている

hostile     敵対的

assign     割り当てる

one another   お互いに

blink      まばたきする

snap      へし折る

strangulation  絞殺

observe    (規則などに)従う

 

ふう。一度に暗記する必要は無いから、説明を見ながら確認するのに使ってね。

 

それじゃあ本文行ってみよう

 

Description: Moved to Site-19 1993. Origin is as of yet unknown.

概要:SCP-173は1993年にサイト-19へ移送されました。オブジェクトの起源は現在の所知られていません。

 

シンプルだね。シンプル過ぎるので翻訳するときに少し情報を足しても良いかもしれない。Descriptionは「描写、記述」といった単語だけど、SCP報告書のフォーマットとしては「概要」と訳すことになっています。

as of yetと言うのはそのまま「今のところ」と覚えてしまいたい。

 

It is constructed from concrete and rebar with traces of Krylon brand spray paint.

オブジェクトはクライロン社製ペイントスプレーの痕跡が残る、コンクリートと鉄筋から構成されています。

 

主語itはSCP-173のことですね。 be+constructedで「構成される」という受動表現。Krylonはペイントスプレーの会社。会社名や商品名を見た時に、「あ、これは固有名詞だな」とわかるようにしておきたい。うちの大学ではTOEICの授業で、「Wedgewoodのコンロ」を「木製のコンロ」と勘違いしてクラスの殆どの人が問題間違える場面があったり。

 

SCP-173 is animate and extremely hostile.

SCP-173は生きており、非常に敵対的です。

 

 

ラテン語で命を意味するanimaから派生したanimateは「生命を持っている」という形容詞ですね。animateは同じ形で動詞としても用いるけど、その場合は「命を吹き込む」という語になります。接尾辞を付けて名詞にしたのがanimation。

extremelyは頻繁に使うけど「極度に」。書き言葉だけでなく口語で「めっちゃ」ってニュアンスでも使うよ。そしてhostile。これはあまり見かけないかもしれないけど、ラテン語で敵を意味するhostisが語源だね。SCP記事ではしばしば出てくるからすぐ覚えられると思う。

 

 

The object cannot move while within a direct line of sight.

オブジェクトは直視されている間、動くことができません。

 

while      within             a  direct  line  of  sight

の間 の範囲内で ← 直接の視線

ここは少し英語と日本語での考えが違うかな。上の二つの文、意味は同じなんだけれど、日本語では「直視されている間」という時間的な区切りで表現しているよね。英語は「直接の視線に捉えられている限り」、つまり空間的なイメージで説明されていると対比できる。ここは説明する事自体が難しくてごめんねぇ。もしわかってくれる人いたら嬉しい。

 

 

Line of sight must not be broken at any time with SCP-173.

SCP-173から目を離してはいけません。

 

line of sightは「視界の線」つまり視線。be brokenと受動表現で表されてるね。

直訳すると「SCP-173との視線は常に壊されてはいけません。」滑らかにするため意訳するとまあ上の日本語訳に落ち着くんじゃないかな。

 

Personnel assigned to enter container are instructed to alert one another before blinking.

コンテナへの立ち入りに割り当てられた職員は、まばたきをする前にお互いに警告し合うよう指示されます。

 

主部が長いね。Personnel assigned to enter containerまでで文の主語になってます。まずPersonnel、そしてそれがどんなpersonnelか説明するのがassigned(割り当てられた)to enter container(コンテナへ立ち入ること)

instructは「指示する、指導する」という動詞。受動のbe instructed toで「~するよう指示される」という形だね。

alertは「警告する」という動詞。ただalertは「警告」という名詞としても使うよね。語の形から動詞か名詞か形容詞か...とかが判断できないのが英語の面倒くさいところ(愚痴) 

one another   これはeach otherと同じ意味です。「お互いに」

blinkingは「瞬きする」という動詞blinkに-ingが付いた動名詞形だね。

 

 

Object is reported to attack by snapping the neck at the base of the skull, or by strangulation.

オブジェクトは頸部の圧断、絞殺などの方法で攻撃すると報告されています。

 

snapを上手く訳せなくて既存の翻訳から「圧断」という言葉を拝借しました。「へし折る」って意味なんだけどこの文体に合う言葉が思いつかなくて...。辞書から引いた言葉をただ並べるんじゃなく文体に沿って組み立てていくのが翻訳の難しさ。一番楽しいところでもあるんだけどね。

文を読む時は要素ごとに区切ってみるとわかりやすくなります。

(Object) (is reported) (to attack) by (snapping the neck at the base of the skull), or by (strangulation).   紙に書き込める人はそれぞれ違った色のペンで囲ったり下線を引いたり工夫してみてね。

お次でラスト!

 

In the event of an attack, personnel are to observe Class 4 hazardous object containment procedures.

攻撃事象の際、職員はクラス4ハザードオブジェクト収容プロトコルに従うこととなっています。

 

eventは「イベント」の事だけど、日本語で使われるのより意味が広く、「出来事」「事象」といった意味合いで使われますね。

personnel are to observeという be+to+動詞という構文が使われています。これはいくつかの意味を持つ構文なんだけど、この場合は「~しなければならない」という義務でしょうね。

一番やっかいなのがClass 4 hazardous object containment procedures!これをどう区切るべきかは神のみぞ知る、かな。

Class 4 hazardous object・ containment proceduresなら「クラス4ハザードオブジェクトの収容プロトコル

Class 4 ・hazardous object containment proceduresなら「クラス4のハザードオブジェクト収容プロトコル

ハザードは日本語に訳しづらいけど、意味としては「危険」かな。文中のhazardousは名詞hazardの形容詞形。-ousという接尾辞で形容詞化するのはdanger・dangerous(デンジャー、デンジャラス)、humor・humorous(ユーモア、ユーモラス)などは見たことあるかな。

 

お疲れ様!次回は残った2段落を読んで、全体をまとめて眺めてみよう。