きみは「やさしい日本語」を知っているか?

当記事は日本語の標準的言葉遣い、およびやさしい日本語による文章の2種類を使用します。両者の内容はおおよそ同じです。文体の違いを感じながら読んでみてください。

 

ふつうの 日本語(にほんご)と、やさしい日本語(にほんご)で ()きます。中身(なかみ)は (おな)じです。くらべて ()んで ください。

 

 

 

やさしい日本語版(にほんごばん)

 

やさしい日本語(にほんご)は、日本(にほん)に ()む 外国人(がいこくじん)の ために できた 言葉(ことば)です。 日本語(にほんご)は、むずかしい 言葉(ことば)です。 でも、日本(にほん)には 英語(えいご)が できない(ひと)も たくさん います。なので、 やさしい日本語(にほんご)は、 外国人(がいこくじん)に 色々(いろいろ)な ことを ()らせる ために できました。やさしい日本語(にほんご)には、 いくつか ()まりが あります。ここに ()きます。

 

1. (なが)い (ぶん)は 使(つか)いません。

(みじか)い (ぶん)は わかりやすいです。だから (ぶん)を (なが)く しません。

 

2. かんたんな 言葉(ことば)を 使(つか)います。

むずかしい 言葉(ことば)は (ちが)う 言葉(ことば)に かえます。

 

3. 漢字(かんじ)には ふりがなを つけます。

 

4. 言葉(ことば)を わけて ()きます。

言葉(ことば)は わけない(こと)も あります。 でも わけない ()(かた)は むずかしく なります。

 

やさしい日本語(にほんご)は 1995(ねん)の 阪神(はんしん)淡路大震災(あわじだいしんさい)(おお)きな 地震(じしん))の (あと)に できました。日本(にほん)に いる 外国人(がいこくじん)の 半分(はんぶん)は 英語(えいご)が わかりません。 だから、わかりやすい 日本語(にほんご)が いります。やさしい日本語(にほんご)は 英語(えいご)の Simple Englishに ()ています。 日本語(にほんご)を (まな)ぶ (ひと)にも ()いです。

 

 

 

 

標準日本語版

 

やさしい日本語は、日本に定住している外国人のために作られた日本語の人工的な変種です。日本語は漢字、ひらがな、カタカナといった表記体系及び文法の複雑さ、意味の曖昧さなどを特徴とする、学習難易度が高い言語の一つとして挙げられます。国立国語研究所による調査では、定住外国人のうち日本語を理解できる人は62.6%、英語の場合44%という結果が出ています。定住外国人に必要な情報を伝達する際に使用されるという目的のもと、やさしい日本語という概念が生み出されました。やさしい日本語は以下を特徴とします。

 

1. 長文を避け、構造を簡素にする事。

 

主語と述語を明確にし、文を理解しやすく作ります。

 

2. 難しい語彙を避ける事。

 

「理解する」→「わかる」「制作する」→「作る」など、語彙の言いかえを行います。

 

3. 漢字にはふりがなを付ける事。

 

4. 分かち書きをする事。

文節ごとに余白を入れて文を作ります。分かち書きは必ず行われるわけではありませんが、少なくとも全文をひらがなで記述する際にはこうした表記がなされます。

 

1995年の阪神淡路大震災において、日本語も英語も十分に理解できない外国人が必要な情報を得られない事が多くありました。やさしい日本語は英語におけるSimple EnglishやBasic Englishに相当するものであり、外国人への情報発信だけでなく、日本語教育の足掛かりとしても用いられています。

 

やさしい日本語の知名度は低く、おそらく日本語教師以外にはほとんど認知されていないかと思います。ここではやさしい日本語の概略を説明し、定住外国人支援について知るきっかけになればと思い、執筆しました。

 

参考ページ

「やさしい日本語」について:2020年オリンピック・パラリンピックに向けた多言語対応協議会ポータルサイト  

やさしい日本語研究グループ

やさしい日本語(pdfファイル):しまね国際センター