SCPで英語を読もう:第一回 SCP-173

Добрый вечер! うおうおです。

みなさん、英語何年勉強しました?日本人の多くは英文法かなり知ってるんですよね。多分そこらのネイティヴより。

にもかかわらず英語の運用能力に不安を持つ人が多いのは単純に英語を用いる機会が少ないから。沢山英語に触れて慣れ親しみましょう!  ってどの本にも書かれてますよね。

 

じゃあ何読むの?

一番効率の良いやり方は、既に母語で読んでいて内容を把握している文章を英語で読んでみること。

ぼくもハリーポッターを原語で読んでみたり、日本アニメの英語吹き替え版を観たりしてました。既に内容を知っているという事は、読む上での足がかりが用意されているという事です。

眼の前に広がったテキスト全てに同じ集中力を払って読み進めていくのは、たとえ母語であっても労力が必要な作業です。文章の中には確実に掴まなければならない情報と、それらを繋ぐ、新しい情報としての価値が薄い部分が混在しています。つまり情報価値にムラがあるわけで、どこに意識を集中して、どこは読み流すべきかという点が事前に把握できていれば効率よく読み進めることができます。

 

ちょっと脱線しましたね。初回だし許してちょんまげ

 

なぜSCPを読むか?

上述したとおり、文章を読み進めるには足がかりが必要です。SCPやWikipediaはどの記事も決められた形式に従って書かれています。これが英語学習者にとって助けになるポイントです。

これについては実際にテキストを読み進める上でわかってくるでしょう。SCPでもTaleなどを訳すのは、決められた形式が無い分難易度が上がります。

はい、お待たせしました。それじゃあ第一回は勿論この人(?)SCP-173!

 

・まずは原文を眺めよう

 

SCP-173.jpg

SCP-173 in containment

Item #: SCP-173

Object Class: Euclid

Special Containment Procedures: Item SCP-173 is to be kept in a locked container at all times. When personnel must enter SCP-173's container, no fewer than 3 may enter at any time and the door is to be relocked behind them. At all times, two persons must maintain direct eye contact with SCP-173 until all personnel have vacated and relocked the container.

Description: Moved to Site-19 1993. Origin is as of yet unknown. It is constructed from concrete and rebar with traces of Krylon brand spray paint. SCP-173 is animate and extremely hostile. The object cannot move while within a direct line of sight. Line of sight must not be broken at any time with SCP-173. Personnel assigned to enter container are instructed to alert one another before blinking. Object is reported to attack by snapping the neck at the base of the skull, or by strangulation. In the event of an attack, personnel are to observe Class 4 hazardous object containment procedures.

Personnel report sounds of scraping stone originating from within the container when no one is present inside. This is considered normal, and any change in this behaviour should be reported to the acting HMCL supervisor on duty.

The reddish brown substance on the floor is a combination of feces and blood. Origin of these materials is unknown. The enclosure must be cleaned on a bi-weekly basis.

 

SCP-173(日本支部記事)

SCP-173(財団本部記事)

 

あの、今コピペしてめっちゃびっくりしたんだけど。これ画像含めて形式そのままコピーされるんですか?技術の進歩すげえ。

さて、どうだった?文系大学生なら大体の意味は汲めただろうけど、全ての単語をカバーできた人は少ないんじゃないかな。

SCPを読むときの癖の強さとして、やっぱり科学、軍事関係の普段見かけない単語が頻出する点があるかな。ただ何回も出てくる単語はすぐに覚えられるから、最初に単語を調べる労力さえ惜しまなければ、「SCP語」は比較的早く習得できるよ。この記事シリーズでは馴染みの薄そうな単語は解説していくので、SCPに手を出す取っ掛かりになったら嬉しいな。

 

さて、全文通し読みするとちょっぴり長くなりそうなので二分割。この記事では特別収容プロトコルを読んで、概要は次回に回そうか。

 

・今回の単語

Containment               収容

Procedure                   手順

Kept                             keepの過去分詞

Container                    コンテナ

Personnel                    職員

Maintain                       維持する

Vacate                          立ち退く

 

リストが整ってなくてごめん。なんかはてなブログの編集画面TABキー使えない。

少し単語を見てみようか。1つ目はcontain。この文の中ではcontainment、containerという2つの名詞が使われてるね。これらはどちらも動詞containから派生したもの。containは「収容する」という動詞だよね。-mentという語尾が付くことで「収容すること」、-erが付くことで「収容するもの」になります。こういった変化(接尾辞)はみんなどこかで見てると思う。

英単語は語幹を見ると面白いし、結合の仕組みを知ることでラクに語彙を増やせるから、楽しんで英語を覚えたい時には意識してみよう。上のリストを例に取ってみると...

personnel と関係を持っていそうな単語は? みんな知ってる通りpersonだよね。意味の繋がりも想像しやすいと思う。

じゃあvacateは? これは少し意味の繋がりに飛躍を感じるかもしれないけど、休暇を意味するvacationという名詞があるよね。vacateは「立ち退く、場所を空にする」という意味だから、なんとなく関係は想像できそうかな。

 

・本文に行こう

さて、初っ端から「SCP語」が出てきたね。Special Containment Procedures は意味を並べれば「特別 収容 手順」。これで意味は正しく翻訳されたけれど、SCP記事では「特別収容プロトコル」と訳すのが”お約束”になってます。こういった用語を身に付けることで財団らしい文体を習得できるので、頑張って覚えようね。

このSpecial Containment Proceduresを略すとSCP。財団はこの言葉遊び(?)を好みます。ちなみに公式にはSCP財団はSecure, Contain, Protectの頭文字(アクロニム)とされてるよ。

このお遊びが一番発揮されているのは財団フロント企業。財団が存在をカモフラージュしながら社会に関与する時その窓口となる存在だね。例えば...

Soap.jpg

死体石鹸ならおまかせあれ!

 

勿論日本支部も持ってるよ。

   滋賀中央森林公園(Shiga Central-woodland Park)

自分が記事を書くときに新しく考えるのも楽しいね。

 

 

閑話休題

本文に戻りましょう。

 

Item SCP-173 is to be kept in a locked container at all times. 

SCP-173は施錠されたコンテナに常時収容されます。

 

be+過去分詞は高校受験で頑張った受動表現だよね。keptはkeepの変化型でbe keptは「留め置かれる」。ここは多少意訳して「収容」という言葉を使いましょう。

滑らかに翻訳するには上手に意訳する必要があるんだけど、どこまで自由に解釈して良いのかは常に悩みどころ。やり過ぎると原文を無視した誤訳になっちゃうからね。

 

When personnel must enter SCP-173's container, no fewer than 3 may enter at any time and the door is to be relocked behind them.

 SCP-173の収容コンテナに職員が立ち入る必要がある場合、必ず三人以上で入り、入室後にドアを施錠しなければいけません。

 

ちょっと一文が長めだね。文の前半部分は問題なく読めるかな?

no fewer than 3 も大丈夫かな。fewerは形容詞few(少ない)の比較級。fewer than 3は「3人より少ない」で、その前にnoが付いてるから意味は反対になって「3人よりも多く」。

mayはcanと同じく可能を表すから、may enterで「入ることが出来る」

at any timeは「常に」、文脈によっては「必ず」と意訳しても許されるかな。

その後出てくるのはまた受動表現、to be relocked「再び施錠される」。上で接尾辞を取り上げたけど、今回出てきたrelockは接頭辞re-がついて動作の繰り返しを表してるね。このあたりの表現はみんな感覚として身についてるんじゃないかな?

続いてこの段落最後の文。

 

At all times, two persons must maintain direct eye contact with SCP-173 until all personnel have vacated and relocked the container.

全ての職員が退出しコンテナを再び施錠するまでの間、二人の職員は常にSCP-173を直視し続けなければいけません。

 

だから一文が長えっつってんじゃねえかよ(半ギレ)

maintainは「設備を維持する」みたいな感じでよく使う動詞だけれど、この場合維持するのはdirect eye contact with SCP-173 つまり「SCP-173を直視し続ける」と訳せますね。

さて、until以降は動詞が完了体になってます。正直ぼくこの完了体がめっっっちゃくちゃ苦手でさ...。ただこの場合はシンプル。have+過去分詞で完了体を表していて、この文ではhave vacated「退出”し終わる”」、have relocked「再施錠”し終わる”」という動作の完了を強調して認識してあげようね。

 

ここまでで前半はおしまい。次は「概要」、オブジェクトについての詳細な描写に移ろう。今回は初回というのもあって、本題と逸れた部分が随分あったおかげで文量が増えてしまったけれど、次回からはもう少し読みやすくなるはずだ...多分!

まだ初めたばかりで手探りだから、構成についてとか、解説についてとか、こうした方が良くなるよ!ってアドバイスがあったらコメントでもツイッターでも伝えてね。

それじゃあまたそのうち。ここまで楽しんで読んでくれたなら嬉しいな。